Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
斜視の原因は一連の視覚反射の異常に基くとされ,その形態的な表現である眼位の異常の根底には両眼視機能の障障,異常が存在することは多くの研究に依り明らかである。今,斜視を治療せんとする場合に,従来のごとくその形態的な症候である眼位の異常を矯正せしめ得たという丈で満足すろ時は,斜視の主要症状である両眼視機能の障碍,異常に対しては何等の処置も行われない事になる。故にその両眼に対応異常があれば複視を生じ,共同固視反射や融像機能に欠ける場合には,眼位の異常が再び現れて来る危険があるのである。そこで,たとえ両眼視機能の自然的な恢復を期待し得ることがあるとしても,斜視の治療のあり方は,当然この眼位異常という形態的な異常の矯正に対するものと,両眼視機能の恢復を計る面所謂機能的治癒に関するものとの両者の総合でなければならない。
欧米に於ては,第二次大戦中,英国空軍に於て両眼視機能養成の必要から生じたと云われる所謂Orthopticsは戦後斜視患者の両眼視機能に対する治療として新たな立場に立つて益々発展しつゝある。現今欧米各国の大学では,Orthoptic clinicとして独立したシステムを有し,系統的に斜視の機能的治癒を計るべく治療を行つていると聞く1)。
In the ten cases of strabismus concomitans, the orthoptic treatment by synoptphore were performed combinding with surgical operation. The times of treatment were minimum 5 and maximum 30. In 3 cases, they were performed pre-and post-operation and the others were treated post-oeratively.
In all the cases, suppresion were proved pre-operaively but suppression could be removed and normal retinal correspondence were obtained by tratment.
The fusion of binocular vision were obtained but in 4 case steropsis were incomplete. The eye-ball position became normal in 6 cases.
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.