銀海餘滴 新刊紹介
—萩原・浅山・大塚 編纂—眼科最近の進歩/—佐藤勉著—近視及び乱視の手術
中村 康
pp.19
発行日 1956年1月15日
Published Date 1956/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205569
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本書を通覧して感ずることは戦後10ヵ年を経て数多くの日本の各大学教授の中に眼科学の内でも特種な專門的研究を專らにする人が輩出して来たことである。只大学教授にある許りでなくあの問題はあの教授の深い研究から出たものが読み甲斐があり聞きばえがあるとなつて此様な眼科最近の進歩と言う成書に価値が出て来るものである。此様な成書の編輯の主体は只外国の模倣研究や論文紹介の集りで事足りると言うのではない。其点よく理解して各方面の研究を包含して編輯してあることに敬意を表する。独逸にはZaitfragen der Augen beilkmd (1954)英国にRecent advances in Oplubelaulogy (1951)がある。仏蘭西にも類似の出板があつたと記憶する。此等は私共の参考となる基礎的研究があり仲々難解の処が多い。然し此も世界医学の進歩の為めに欠く事の出来ない文献である。世界各国の眼科專門雑誌を通覧して見ると各国と其進歩の方向に相違がある。世界は飛行機の発達と共に非常に狭くなつた,其故に「世界眼科学の進歩」と言うものが編輯される事になつたらはたして此中の何れの方向を日本眼科学の進歩と世界はみるであろうか。
此様な本は毎年出版さるべきでなく3年5年と期を限って其間の進歩を集めて学問から離れて專ら臨床医家の洗脳の資として編輯されてこそ価値がある。独逸では4年英国では3〜5年の隔りをもつている。
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