特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
講演
臨眼特別講演
初期の視神経疾患と緑内障における視神経線維層欠損の検眼鏡的所見について
Hoyt William F.
1
1カルフォルニア大学
pp.609-610
発行日 1974年5月15日
Published Date 1974/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205125
- 有料閲覧
- 文献概要
前部視路の神経線維の萎縮は網膜神経線維層に直接反映される。これらの下降性の萎縮性変化は軽微なものではあるが,検眼鏡で見ることができ,無赤光線を用い眼底カメラで写真にとることもできる。
多発硬化症ならびに他の原因による脱髄性視神経疾患の患者で,乳頭周囲の弓状の神経線維束のスリット様の欠損と,これに対応する視野の弓状の欠損が,しばしば視力,色神,乳頭の血管変化が生ずる以前に検眼鏡により検出できる。これらの微細な,早期の視神経障害を示す検眼鏡的な徴候は,球後の病変による軸索の散在性の消失を示すものである。これらの視神経の早期の障害を示す検眼鏡的所見は,脳幹あるいは脊髄症状のある患者の神経学的診断にさいして重要である。このような症例では,網膜の変化は中枢神経系統疾患がmulticentricな性質のものであることを示す。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.