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緒言
重症筋無力症(以下MGと略)はその初発症状として眼瞼下垂をほぼ90%に,また複視を70%にみるとされ,その経過中には眼症状が100%近く出現するなど1)その診断の面においても本症は眼科医にとつて極めて重要な疾患である。今1つMGの眼科的に重大な問題の1つに眼瞼下垂,マヒ性斜視による弱視,両眼視発達障害の問題がある。これらの問題の解明のための第1歩として,MG患者の眼症状の特徴を明らかにする必要があるが多数例のまとまつた報告はみられない。今回私どもは北里大学眼科自験例50例について,眼症状(眼瞼下垂,眼位,眼球運動)の特徴を調べた。
MGの病因については現在もなお多くの議論があるが,本症の本質とも関わる問題として,患者が正常人と比しアセチルコリンに低感受性であるという報告2)がみられる。これらの事実とも関連して,患者の血中および組織の,コリンエステラーゼ(ChEと略)の異常の有無は検討すべき重要なことと考えられる。今回はその第1段階として患者の血中ChEの活性および性質について検討し,2,3の興味ある所見を得たので報告する。
Fifty cases (Fig. 1) of myasthenia gravis ex-amined in the Kitasato University Hospital were analysed. Ocular signs (ptosis, squint, ophthalmoplegia) were recognized in about 80% of the cases respectively. Hypertropia and/or exotropia was most commonly found and esot-ropia was a rare occurrence. Horizontalvertical (complex) disturbances of ocular movement were commonly encountered.
Five cases (10%) had amblyopia. Their age of onset was mostly under 3 years old, and all cases showed horizontal plus vertical restriction of eye movement.
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