談話室
学校用色覚異常検査表(1968年版),幼児用色覚異常検査表(1970年版)の思い出
沢 潤一
pp.153-155
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205065
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石原先生が亡くなられてもう10年になる。先生の色覚異常検査表がスクリーニング表として世界に冠たるものであることはすでに定評があつたが,先生は終生この表の改良を研究しつづけておられ,数々の腹案を持たれ,そのうちのあるものは原稿もできていた。しかし先生の生前に実現したのはコンサイス版および旧版の「幼児用色盲検査表」までであつて,この時先生は最後の病床にあられた。死期の遠くないのを覚られた先生は,色盲表に関する後事の一切をあげて財団法人一新会に托され,昭和38年1月3日82歳で逝去された。
先生のお作りになつた表は陸軍在職時代以来多数にのぼるが,現在ひきつづき刊行されているのは「38表版」,「24表版」,「コンサイス版」および学校用色盲検査表,幼児用色盲検査表であつて,前3者は主として国外向けのものである。先生の一新会に対するご遺嘱は,石原表の声価をおとすことのないよう厳重に管理するとともに改良すべき点は改良するようにとのことであつた。先生の表は原理的には偽同色表であるが,その基礎になる異常者の混同色について非常に広範な深い研究をされ,それらの色のいくつかの組合わせを作られ,生前刊行されたものは7種類の組合せをとられていた。
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