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緒言
外科または皮膚下領域では,チメロサール(マーゾニン)によるアレルギー性接触性皮膚炎は日常しばしば見られるところである。一方,チメロサールは点眼薬の防腐剤として,あらゆる医薬用,一般市販用点眼薬に含まれている。しかるに,眼科領域では,チメロサールによるアレルギー性結膜炎,または眼瞼結膜炎はあまり問題にされていない。
著者は市販用点眼薬によつて起こつたアレルギー性結膜炎と思われる例に遭遇し,チメロサールを含むステロイド点眼剤で治癒しえなかつた。その後の治療経過から,その患者はチメロサールに対し過敏性を持つていることがわかつた。著者は,さらに,点眼薬によつて眼の充血,またはなんらかの眼症状を起こしてきた患者に,チメロサールのパッチテストを行なつたところ,これらの患者の中には,チメロサールに対し過敏性を有するものが多いことがわかつた。これまでの症例から,われわれの日常の臨床には,チメロサールに対し過敏性を持つ患者が潜在していて,疾患の診断,治療,経過観察の上で,誤つた解釈がなされる可能性があることがわかつた。ここに,これまで経験された症例の数例について報告する。
This report deals with allergic conjunctivitis and blepharo-conjunctivitis caused by thimerosal which is added in eye-drops as a preservative.
Recently, allergic contact dermatitis by thi-merosal has been discussed among surgeons or dermatologists. However, in the field of oph-thalmology, its ocular allergic activity is not considered although thimerosal has been widely used as a preservative of most eye-drops.
The first case was previously treated as aller-gic conjunctivitis by another physician for a long time and seemed to have developed steroid glaucoma.
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