第25回日本臨床眼科学会 GROUP DISCUSSION
遺伝性眼疾患
pp.757-760
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204801
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1.網膜色素変性症と脈絡膜硬化
小島 克(名古屋市)
新美勝彦・矢藤仁久・吉兼美紀(名大)
老人性網膜色素変性症と考えられる77歳の男と,脈絡膜硬化に起因する色素上皮変性症の74歳の男について報告した。いずれも50歳前後の発病であり,光覚障害,ERGの消失といつた所見は普通であり,検眼鏡的にも,特に下鼻側〜下方に白色化した脈絡膜血管を露呈し,螢光像では硬化のつよい部分で背景螢光の消失,境界域で背景螢光の遅延を認めた。しかし,視野は前者では10°以下の求心性狭窄であるのに対し,後者では両上耳側四分盲様であつた。このことは,前者では網膜変性が先行し,脈絡膜硬化しこれを修飾するといつた病態であり,後者は脈絡膜硬化に起因した網膜病態というように想像した。病状進行はいずれも緩徐であつた。また,検眼鏡的に全域が汚穢変性し,螢光像で乳頭黄斑周に脈絡膜血管が露呈し,光覚障害の著しい44歳,男の例を報告した。
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