学会印象記 第74回日本眼科学会総会
桑原教授特別講演
有核白内障の吸引法について
大熊 篤二
1
Tokuji Okuma
1
1横浜市立大学医学部眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Yokohama City University School of Medicine
pp.1101-1103
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204362
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慶応大学桑原安治教授の特別講演は,学会第3日5月17日の午前10時から,大塚任教授の座長で催された。演題は「有核白内障の吸引法について」である。これは桑原教授が長年行なってこられた若年者の無核白内障(軟性白内障)に対する吸引療法の経験に基づいて,この吸引法を老人の有核白内障(硬性白内障)にも適用し,術後管理を安全容易にして,患者を白内障手術後の安静の苦痛から解放するために,約10年来続けてこられた研究の成果を集大成して紹介されたものである。
講演は研究目的に関する緒言のあと,白内障の吸引法の歴史が述べられたが,その中で馬嶋流の白内障吸引針の写真がスライドで示されたのは,わが国においても古くから無核白内障の吸引法が用いられていたことを知つて興味を引いた。有核白内障に吸引法を適用するためには,固形の水晶体核を吸引可能な細片に破砕しなければならない。この水晶体核破砕法には,まず機械的方法や化学的方法が考えられるが,これらの方法では実用に供し得る成績が得られなかったので,超音波による破砕が試みられるようになつたという。
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