第23回日本臨床眼科学会 GROUP DISCUSSION
角膜移植
pp.1019-1023
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204352
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I.角膜移植600例の検討(治療的角膜移植)
水川 孝・片野隆生・曲直部 恵造(阪大)
昭和33〜44年10月まで阪大眼科で経験した605例の角膜移植の術式は,40年初期まではPlastic CAP法が大部分で40年以降は直接縫合法である。
また直接縫合法による40年以降の透明治癒率は59%である。そのうちわけは円錐角膜100%,角膜変性84%,角膜ヘルペス68%,角膜片雲83%,角膜斑64%,角膜白斑44%,梅毒性角膜混濁55%,角膜移植後再手術19%などである。ただしこの中には光学的な目的以外に治療的角膜移植や種々の合併症を持つ症例を含んでいるので,これを考慮すれば角膜移植の成功率は80%以上の治癒率を得ている。次に治療的角膜移植の中で最近経験したヘルペス4例,匐行性角膜潰瘍1例,瞼球癒着1例について報告した。治療的角膜移植の場合,薬物療法とかみあわせて手術術式,時期を決定するのはなかなか困難な点であるが,症状によりすみやかに手術にふみきるべきで,病巣が比較的表層の場合表層移植も考えられる。また症例によっては光学的な意味より眼球保存消炎のため速刻角膜を必要とする時には長期保存角膜(たとえば冷凍保存)をおおいに活用すべきである。
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