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I.緒言
角膜周辺部の裂傷,潰瘍などに対する結膜弁被覆法は古くから用いられ,成書にも記載されている。角膜中央部の難治な潰瘍に対してGunderson1)は新しい結膜弁被覆法を考案してこれを応用し有効であることを報告した。最近IDUに抵抗する難治なヘルペス性潰瘍が増加する傾向にある。わが国においてもこのようなヘルペス性潰瘍に対し結膜弁被覆法が有効であることが2,3の人2)3)により記載された。しかしながら詳しい術式や系統的な臨床成績の報告はいまだ見られない。われわれは難治なヘルペス性潰瘍,神経麻痺性角膜炎,匐行性角膜潰瘍などに対しGundersonの方法をやや改変して結膜弁被覆法を行ない,非常に有効な成績を得た。
結膜弁被覆法がなぜ有効であるかという機序についてはいまだ十分に理解されていないようである。角膜は無血管組織であるため角膜中央部における遊走細胞や高分子蛋白質,特に抗体はすべて輪部血管に依存しているため中央部においてはこれらの濃度が低いことが生理的に知られている。したがつて角膜中央部は組織を透明に保つために防御反応を犠牲にしていると考えられる。結膜弁被覆法が角膜中央部の潰瘍に対する遊走細胞や蛋白質の浸入に対しどのような影響を持つかということをウサギを用いて実験し,結膜弁によつて被覆された角膜に遊走細胞や蛋白質が速やかに到達することを知ることができた。
A modified Gundersen's conjunctival flap was done on 11 cases of herpetic keratitis, 4 cases of serpent corneal ulcer and 4 cases of neuro-trophic and lagophthalmic ulcer. The method was effective in reducing inflammatory reac-tions and in repair of the damaged tissue. Rabbit experiments showed that wandering cells and protein reached the ulcer in the central corneal via the conjuntcival flap. The method is thought to be effective because of increased supply of wandering cells and antibody.
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