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世界の眼科書
中泉 行正
pp.94-95
発行日 1969年1月15日
Published Date 1969/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204001
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眼についての医学的記事は古代からたくさん残されている。たとえば紀元前2000年頃に出来たハムラビ法典(Hammurabi 1955 ?〜1913 B. C.)には眼を手術した時,その外科医に対する謝礼と失敗して失明させた場合の罰則についてのことがのつているといわれ,またその他,薬のこと治療のことなど眼科に関する記事は古くから非常に多い。しかし,現存していてしかも確かな記録というものにはなかなか簡単に接することができない。
さて,世界の眼科書といつてもこれまた数限りないともいえるが,系統医学としての記録には,西にギリシャ医学のヒポクラテス全集,東にカラカ,ススルタによる印度医学の聖典がある。また中国やわが国の古代にもそれら聖典の影響を受けた立派な医典がある。これらの中には眼について,あるいは詳細に,あるいは簡略に長短いろいろ記載されている。それは即眼科専門書とはいいきれないが,少なくともその時代の眼科については専門的立場で書かれたものとして,広い意味で眼科書ともみられよう。というのは古い時代には医学の分野が今日ほど細分化されていなかつたため,医学全書的なものが多かつた。
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