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I.緒言
Bangerter,Cüppers等によつて体系づけられた現行の弱視治療法は,弱視に関する智識の普及病態生理に関する研究の進歩,診断法の進展をもたらすのに貢献したが,その治療効果の実際面に関しては,批判的段階になつてきた。昨年度の弱視に関する宿題報告をはじめとし,内外の報告をみると,pleopticsの限界を論じた報告が増加してきた。
弱視治療の目的は,固視を正常となし,視力を正常化し,良好な両眼視機能を得さしめることにあることはいう迄もない。しかしながら,斜視弱視に両眼視機能を獲得せしめることは容易でなく著者の経験では,5歳以上では,僅か5.6%にしかすぎない。固視改善の問題にしても,これを正常固視となし,且つ安定をもたらし得たものは,19.6%であり,創始者の方法を忠実に行なつてみても,固視の正常化を得られることも難かしい。視力の改善は,中心固視視力ならばよいが,偏心領域の視力は,改善の目やすにはならない。従つて斜視弱視の治療の適応に,著者は,固視反射試験を重要視し,偏心領域調整の確立したものは,これを正常固視となすは至難であるので適応より除くのがよいと述べた。現在は,pleoptics禁忌とした方がよいとも考え,その実例をあげ諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
Ten cases with strabismic amblyopia are described in which intractable diplopia was induced by pleoptical treatments.
These cases were almostly older children (after 12) and adult with strabismic ambly-opia who showed eccentric adjustment by fixation reflex test. The author concludedpleoptics was contraindicated for strabismic amblyopia with eccentric adjustment in older children and adult. Unless binocular vision could be obtained, diplopia might constitute a serious handicap in these patients.
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