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特集 眼科臨床における診断・治療上の困難例
診断のむずかしい色覚異常と適性検査の方針について
Eligibility for work of borderline colordefective subjects
市川 宏
1
Hiroshi Ichikawa
1
1札幌鉄道病院眼科
1Dept. of Ophthalmology, Sapporo Railway Hospital
pp.1299-1301
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203067
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色覚障害は,色覚の生理を追究する立場から検査する場合と,集団を対象として職業適性の立場から検査を行なう場合とで,同じ色覚障害をあつかいながら検査方法の選択順序から診断の難易まで違つて来るものである。
網膜色素変性症を例にとつてみよう。初めから病名が判明していて色覚を調べる場合は,視力・視野・光覚などの検査から始まり色盲表,アノマロスコープ,色光によるERG検査などが順次選ばれるのであるが,集団検診で本症に遭遇した場合,かなり症状が進行していても中心色覚が意外に良い状態を保つていることが多いため,まず色覚検査に注意が向けられる結果,普通の先天性赤緑異常にしては幾分理解しにくく,さりとて全色弱とも云いかねるというように非常に診断を迷わせられることがある。勿論眼底を検査すれば納得出来るのだが,集団検診の場合視力が良いとなかなかそうはゆかない。そこで職業適性検査を実施中診断に手こづつた色覚障害例を中心に,私の行なつている適性検査の方針について述べてみようと思う。
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