談話室
アジア・ヨーロッパ駈けある記—(第2回ヨーロッパ眼科学会出席を中心として)
戸塚 清
1
1関東逓信病院眼科部
pp.1273-1278
発行日 1964年11月15日
Published Date 1964/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203065
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私は,熊本大学眼科教授,須田経宇氏と共に,去る5月16日に羽田を出立し,途中で東京警察病院医長,河本正一氏とも御一緒になり,香港,タイ,印度を通つて,トルコのイスタンブールに於ける第3回アフロ・アジアン眼科学会に出席し,それからギリシャ,イタリー,スイスとヨーロッパを巡覧し,6月6日からのオーストリヤのウィーンの第2回ヨーロッパ眼科学会に出席し,この終了後,ドイツ,フランスを通つて,北方経路で6月18日に再び東京に帰つて来た。思えば34日間の誠に短期間の旅程であつて,且この種の記事は既に多くの方々が書いて居られ,今更らという気がして甚だ心が進まないのではあるけれども,編集担当の方々からの御希望もあるので,所感のあらましを述べて責をふさぐ事と致したい。
先ず語学に就いてであるが,私共の病院では,茲2,3年来聖心の外国人の女性の先生に,1週1回おいで頂いて英会話の練習をして居る。生徒は各科の部長連中数名で,勤務が忙しいと称してかつて一度も予習や復習をした事はない。唯その日に出席して,口から出まかせに四方山話しをたどたどしい語調で勝手にしやべるだけである。こんな事をしていて,外国に行つて困る事はないだろうかと出発前,実の処誠に危惧して居たのであるが実際その場に遭遇して見ると,意外にも意志が通じるので一驚したのである。
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