第17回日本臨床眼科学会 研究グループディスカッション
8.点眼薬改良に関する研究
水川 孝
1
1阪大眼科
pp.1165-1169
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203046
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やや肌寒い風が吹く快晴の朝,黄金色の「いちよう」の落葉のただ中,東大医学部中央館「302号室」を会場として,初の点眼薬改良に関する研究グループ会が開催された。実は臨床眼科学会で,研究グループディスカツションのーテーマに取上げられる以前に昭和37年10月より,点眼薬改良問題をめぐつて眼科学関係〔神谷,岸本,桐沢,国友,倉知,須田,萩原,三国,水川,弓削,各教授),薬学関係(岡崎,掛見,野上,各教授,宮崎博士),および基礎医学関係(山辺教授)がお互いに協力して研究してゆくべく班活動を初め,すでに昭和38年4月にはその第1回の研究報告会を開催していた。(臨眼1月号掲載済)。今回の点眼薬研究グループデイスカツションは随つてこの研究班が中核をなして一般からの演題も加えて開催されたものであつた
点眼薬も眼疾患の変貌に相応して改良され,また新らしい作用機序の薬剤ができるに際しては当然新らしい処方が考慮されるべきである。例えば眼内移行を増大させるためには,結膜嚢内滞留を多くし,主剤の拡散・透過をよくすべきであるが,同時にその際,眼局所に対する障害性や,薬剤自体の安定性の検討が個々になされねばならない。昔のように主として結膜や角膜のみに効かせばよかつた主剤を水溶液や軟膏にして,滲透圧,pHだけを考慮していればよかつたものと区別して考える必要があると思える。こうした目的のために研究班がつくられたわけである。
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