Japanese
English
臨床実験
ミドリン点眼による近視の治療
Clinical use Tropasaure-N-athyl-N (Picolyl) amid for myopia
高野 良雄
1
Yoshio Takano
1
1東京医歯大眼科
1Department of Ophthalmology, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
pp.45-50
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202861
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緒言
本邦における学童近視の発生率は第二次大戦中から戦後にかけて一時減少をみたが,昭和25年頃より再び増加しはじめ,文部省統計1)によれば昭和36年度における近視の%はすでに,昭和26年度の小学校男女1.6倍,中学校男2.1倍,女1.9倍,高等学校男2.8倍,女2.5倍となり近年ますます増加の傾向を有しているものと思われる,近視の薬物療法としては古くよりアトロピン点眼をはじめその他多数試みられており,中でもアトロピン点眼がすぐれた効果を示めすことが知られているが2)3),その長時間持続する散瞳と調節麻痺のため日常の使用に難あり,先に土岐氏4)5)は各種薬物の治療効果を比較検討し,中でもネオシネジン点眼による方法がかなりの効果をあらわすことを発表し,ネオシネジンは散瞳持続時間が短く,これを夜間に使用すれば,散瞳による悪影響があらわれないため,その後,石川氏他6),坂下氏他7),田中氏8),高橋氏9),鈴木氏10)等をはじめ諸家によつて重用されている,ここに持続時間の短い散瞳調節麻痺剤として近年新しく登揚した,Tropasaure—N-athyl-N (picolyl) amidを主薬とするミドリン点眼液を軽度近視に使用して若干の治験例を得たので報告する。
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