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綜説
緑内障の治療(そのⅠ)—原發性緑内障に就て
The Treatment of the Glaucoma I On the primary Glaucoma (Part Ⅰ)
赤木 五郞
1
1岡山大学医学部眼科
pp.655-658
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201896
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緑内障の発症機転は既に本誌7巻6号に述べた如く,今日尚詳らかにされて居ない。従つて其の治療法に就ても現在の処未だ根本的なものは無く何れも眼圧に対する対策のみに終始して居り単に病的に亢進した眼圧を正常範囲内迄降下せしめると云う手段に過ぎない。従つて疾病の根本原因は除去されないままであるため,たとえ眼圧のみが正常範囲内迄下降したとしても,病気の進行は依然停止せず視野の狭窄,視力の障碍は次第に進行し続ける症例が尠からず存在する事を我々は常に念頭に置かなければならない。たとえば,Reese氏は初期の単性緑内障患者に就き管錐術を行い眼圧が正常値まで降下した51症例の遠隔成績を調査し,5年後には其の内5例に視野の進行性狭窄を認め,又或る程度病勢の進行した緑内障102症例に就ては其の内39眼に視野狭窄を認めたと報じ,Burke氏は手術に依り眼圧が正常値に恢復した緑内障の内50%は5年以上の経過の内に次第に視野が狭窄し来るとの成績を得て居る。従つて我々は緑内障の治療効果を判定する場合,眼圧降下が一応の目標とは成り得るが,単に眼圧下降のみを以て満足せず,更に永い経過に亘つて視野並に視力を監視し此等に障碍の進行を全く認めない場合初めて治癒したものと判断す可きであり若しも少しでも此等に異常を認めた際は直に以下述ぶるが如き諸種の療法を吟味しつつ,適切なる措置を講じ,以て病勢の進行を阻止する事を常に銘記しなければならない。
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