臨床實驗
高單位ビタミンB2使用による2,3-眼疾患の治療經驗に就て
樋渡 正五
1,2
1東京醫科齒科大學
2横濱市交通局友愛病院眼科
pp.355-360
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201547
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1910年鈴木梅太郞氏によつて發見されてオリザニンと命名せられ,翌1911年英國のFunk氏によつて糠から抽出された1成分で,鳥類の脚氣樣疾患を治癒せしめ得る物質がVitamineと命名されてから,ビタミンに關する研究は急速な進歩を遂げて今日に及んで居る。1920年Drummond氏によつて,作用や構造は互いに異るが1種の活性物質で,同時に,精製した4大栄養素即ち蛋白,油脂,炭水化物,無機鹽類の外,正常の生理作用を完遂する上に絶對必要な物質をVitaminと稱することが提唱された。之等のビタミンは極く微量ではあるが,エネルギー源にはならぬけれども前述の如く生命保存生命維持に缺く可らざるものである。ビタミンは動物體内では合成不可能と考えられて來たが,或る種の動物はビタミンを體内で合成し得るものがあり,かかる場合はビタミンというよりホルモンという可きであろう。ビタミンB2も始めはビタミンBとして一括考えられて來たが,ビタミンB1が抽出分離されて之が作用機序が分明するに至り,更にビタミンB2と之迄呼ばれていたものの中には,今日迄の研究の結果,成長促進因子,抗皮膚炎因子,抗貧血因子のあることが判明して來たので,以來之等をビタミンB2複合體と稱するに至つた。即ち水溶性でビタミンB1を除くもので,N (窒素)を含むビタミンの總稱といえよう。
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