臨床講義
まばたき
神谷 貞義
1
1奈良醫大
pp.266-271
発行日 1953年3月15日
Published Date 1953/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201456
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「まばたき」或は「またたき」と云うのは,空氣と接して生きている脊椎動物の殆ど全てが,目を見開いて生活を營んでいる間中,絶えず繰返している極めて有りふれた,何の不思議さも感じないものであるが,我々が人間として,生きた眞の營みを續けている限り,常に繰返し續けねばならぬものである。こうした我々が死ぬまで續けねばならぬと云う宿命を擔つている事に對して,諸君の中の誰かが眞面目に考えたことが有ろうか。
Duke-ElderはThe causation of the move-ment of blinkillg has excited little interest.(Text-book of Ophthalmology Vol. 1)と述べているが,私は少く共我々が生きている間中絶えず續けねばならぬ器官の運動と云うものは,決して無意義なものでなく,それにはそれ相當の理由もあろうし,そのことを注意深く見極めた時に,臨床上に必要なこれまで見落されていた事柄に氣付くであろう。此所ではそのことに就て述べよう。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.