特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(49)近年多發した急性春季カタルに就て
小口 昌美
1
,
内木 久郞
1
1日本醫科大學眼科教室
pp.197-201
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201434
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所謂春季カタルは比較的稀に見る慢性の疾患とされ,諸家の報告に見る如くに外來患者數の0.3%〜0.001%がその頻度とされている。此頻度は地域により多少の相違がある。春季カタルの本態に關しては從來種々の説があるが,現今はその抗原は不明であるにしても,兎も角1種の過敏症或は集團過敏症と解するのが至當であろう。症状により眼球型,眼瞼型,及び混合型に分類されているが,Graefe u. Saemischの眼科全書には眼球型の記載のみでその他には全然觸れていない。又その他の成書にも春季カタルの初發症状に就ては記載がない。
私共は昭和26年春より夏に至る結膜充血と掻痒を主訴とする結膜疾患に遭遇した。昭和27年度に於ても同期に同樣の疾患が非常多數例に發生したのに氣付いた。此等疾患は若年者を犯し極めて激しい掻痒と兩眼瞼裂に一致する球結膜の充血,或は角膜緑に接してフリクテン樣結節を認めた。眼分泌物中に常に多數のエオジン嗜好細胞を認め,細菌は概ね陰性であった。私共は種々検索の結果急性春季カタルと命名したのであるが,その検査成績を報告すると同時に從來の春季カタル(慢性)との比較をなし併せてその關係にも言及しようと思う。
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