特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
網膜色素變性症の腦下垂體移植法に就いて
神鳥 文雄
1
1鳥取大學醫學部眼科
pp.999-1004
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201338
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Ⅰ まえがき
腦下垂體移植に就いてはRueder u.Wolff (1933)が尿崩症等の腦下垂體性疾患に對して始めて用いた。最近は中教授(1999)が健康人や腦下垂體性侏儒に用い發育機轉の再生を認め,また性器異常,性的神經衰弱症,老衰の防止,體質の改善等に有效であることを報告して以來樋口,吉田教授が脱毛症に利用して好成績を收めていることは既に周知のことであろう。甲状腺の實驗的移植はSchiff (1884)が,犬の腹腔内に行つたのが始めてであつて,これを人體に應用したのはVoronoffであつて,白痴の治療を試みている。
網膜色素變性症が内分泌腺殊に腦下垂體或は甲状腺に何等かの關係があるだろうということは,奮くから想像されJohnes (1917),Lorenz (1930)は本症に甲状腺エキス,或は同ホルモンをWibaut(1931),Francosis (1934),永山(1940)は女性ホルモンを,Viallen font (1933),福留(1938),永山(1940)は腦下垂體エキス,或は同ホルモンを用いて有效であつたと報じている。
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