臨床實驗
先天梅毒性角膜實質炎の前房隅角鏡所見に就て
河野 辰雄
1
1日大眼科教室
pp.676-678
発行日 1952年9月15日
Published Date 1952/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201257
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緒言
近年我が國に於ても前房隅角検査に關する研究が盛んとなり河本氏,萩野氏,梶ケ谷氏等の新作隅角鏡の發表があり殊に緑内障に關しては精細な報告があつた。
此の外虹彩炎,隅角部の異物裂傷,先天性奇型腫瘍の觀察が行われている。荻野氏によれば虹彩炎の隅角所見に滲出物が隅角部及び角膜裏面に沈着するのがみられ之は隅角部の構造をぼかし不規則の色素沈着と共に鞏角膜繊維柱帶の正常の輪廓が亂れ繊維素性滲出物が多い時には特に好んで鞏角膜繊維柱上に塊状に沈着し又毛樣體部にも屡々沈着する。根部は滲出物により癒着し舌状その他種々の形の限局性の癒着を形成する。シユレム氏管の充血は偶々みられる。梶ケ谷氏は虹彩炎を長期に經過したものでは虹彩根部の大小の癒着が起り色素の沈着脱出を伴つて種々の樣相を呈することが屡々みられると報告している。
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