臨床實驗
Kimmelstiel-Wilson症候群における網膜所見について
桑島 治三郞
1
,
堀内 敏男
1
1東北大分院眼科
pp.671-674
発行日 1952年9月15日
Published Date 1952/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201255
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1936年KimmelstielとWilsonが彼等のいわゆる毛細管糸球體硬化症Intercapillary glomer-ulosclerosisと名付ける腎疾患の病理組織像を検討し,臨床症状においては糖尿,蛋白尿,高血壓,網膜病變および色々の程度の腎機能障碍症状を含む一定の症候群を示すものとした。これらの症候群の獨立性については多くの論議はあるが,その後この症候群は一括して通常Kimmelstiel-Wils-on症候群とよばれ,Ansonは900例の剖検屍の腎を検索してその中6例にKimmelstiel-Wilsonの提唱する病理組織像を見出し,Dolgerは臨床的に多數例につき検索した結果,網膜病變を含むこの種の症候群は上記の病理組織像,とくに血管の病變に一致するものであるとした。然し一方Bellは糸球體硬化症を伴う糖尿病とこれを伴わない糖尿病との間には兩者を鑑別すべき何等の特有症状もないとしている。
この問題に關しては,本症候群の獨立性の問題とともに糖尿病をめぐる高血壓,網膜病變および蛋白尿の3者の關係に新たな問題を提供したものとして,今日まで主として内科および病理學領域において論じられて來たが,これらの症候群における綱膜病變の特長は,網膜血管の變化を含むいわゆる糖尿病性網膜炎の複雑型を指しているものであり,そこに後述の如く,本症候群における特異性を認めている。
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