臨床實驗
白内障嚢外摘出後の早期離床
鴻 忠義
1
1千葉醫大眼科
pp.618-620
発行日 1952年8月15日
Published Date 1952/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201240
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緒言
輓近外科領域に於ては手術後の早期離床2)が普及しているが,早期離床と云うことは今更新らしいことではなく既に前世紀末から提唱されている所で,殊に開腹術後の早期離床は只單に術後安靜にして居らねばならぬ苦痛から開放されるのみならず循環が良くなり肺の合併症及び尿閉の防止,自然排氣の速進,食慾増進等の利點多く,從つて術後の恢復を早めると言われている。
白内障手術は其の成否が極めて明確なものであり而も眼にとつては致命的運命を課するものであるから手術は素より後處置は安全確實な方法を選ぶことが望ましいが必要以上のことは避くべきであろう。即ち從來行われて來た後處置は餘りにも愼重であり兩眼帶及び安靜を保たせておく期間が長すぎるのではあるまいか。此の點に關しての文献は少い樣であるが,廣田氏3)は大正12年に當時の東大眼科で行われていた白内障手術の後處置を紹介された論文中に,障害のない限り早期離床を許し平常の生活に戻すことが望ましいことを,又丸尾氏4)は昭和3年に京大眼科の統計から硝子體或は虹彩脱出のない時は早期に繃帶を除去する方が良いと述べている。而し乍ら手術後の早期離床の具體的の實施方法を示したものはなかつた。
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