臨床實驗
2,3の結膜疾患に見られたプロワツエク小體類似の包入體に就いて
狩野 俊行
1
1金大眼科
pp.785-786
発行日 1951年12月15日
Published Date 1951/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201007
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1909年,Prowazek.Halberstadter兩氏により發見せられた所謂Prowazek小體(P小體と略記す)は,近年一部に於ては再びトラコーマ病源體として有力視され,又現在これがトラコーマ病源體そのものであることを否定する學者間にあつても,病源體と密接な關係を有するものと考えられている。しかしながら,現在までにトラコーマ以外の眼疾患に,即ち,種々なる結膜炎や春季カタル,甚だしきは健康結膜にもP小體を證明したという報告もあるが,之等に對しては當該實驗者がP小體以外の顆粒をそれと誤認したものであるか,或は當該疾患の診斷に間違いがあつたものではなかろうかと言う者さえある。最近,赤木氏は春季カタルの結膜上皮細胞に於て,P小體に類似した小體を證明し,之を報告された。私も亦,昭和23年,春季カタル(眼球型)の結膜上皮細胞に於てP小體類似の包人體を證明し,更に春季カタル以外の眼疾患に就いて検索を試みた所,同樣の上皮細胞包入體を證明したのでこゝに簡單に報告したいと思う。
實驗例は全例,金澤大學眼科外來患者であつて,標本作製は點眼麻醉後デツキグラスの一邊を以て結膜を擦過し,乾燥,固定後,P小體を最も鮮明に染色すると云われるギムザ染色法に依つた。
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