臨牀實驗
高安氏病の成り立ちに就て
桑島 治三郞
1
1東北大學眼科
pp.112-116
発行日 1949年3月15日
Published Date 1949/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200337
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嘗て「奇異なる網膜中心血管の變化」と呼んで高安氏が始めて明治41年の日眼總會に報告した稀有な疾患は,其の後追加症例の檢索を重ねるに從ひ,次第にその病像が明かにされて來た。即ち始め中島,内野,吉川,箕越,内山氏等は先天異常又は先天素因を説いたのであるが,富田,東及び岡村氏等の詳細な臨床檢索の結果,本症の發病機轉は,心臓下流にして上膊動脈より上流,即ち大動脈弓部に生じた狹窄乃至閉塞過程に基くものであることが推定され,此のことは津川,太田氏等に依つて剖檢的に實證されるに到り,茲に本症の發生機轉は漸く解明されるやうになつたのである。唯,本症の本態に就て付上,百々氏等は閉塞性血栓血管炎に伴へる症候群であるとしてBur-ger氏病の,所謂大腦型に屬せしめるべきものとするに對し,油井,石島氏等はBurger氏病及び梅毒と異なる獨特の一慢性疾患であるとしてゐる。此の點に關しては尚不明の域が多く,從つて本症の名稱の如きも報告例の主要所見に依つて各々區々として相違する名稱を以て呼稱してゐる状態である。
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