談話室
檢眼鏡發明百年を記念す
山賀 勇
pp.608-612
発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200944
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
古くは西洋でも東洋でも,瞳孔は黒いものとしか理解出來なかつたので,時々犬や猫の眼が暗夜に光ることは知られたが,只怪しいこととして,その理由は全く不明であつた。1668年パリーのMariotte初めて人眼も亦光るべきことを唱えたが,主として動物についての實驗を行い,人眼についての追及をしなかつたのは惜しいことであつた。このようにして19世紀に入つてもなお,知名の博物學者さえこれは動物の眼に發光機能があるためだと唱えて多くの人々がこれに從つた。1810年ジュネーブのPrevostは動物眼の光るのは,投入光線の反射によることを確め,1812年ミュンヘンのGruithuisenもこれと無關係に眼底網膜の反射によることを知つたがまだ一般には信ぜられなかつた。
一方病的眼について,1735年ロンドンのDuddelは白兒眼の眼底の光るのは白色家兎と同樣に脈絡膜に色素のないためであると發表し,1837年エルランゲンのMichael Jager は虹彩缺損患者の眼底の光ることを發見して光線の反射によることを確め1792年ウィーンのJ,Beerは眼底の新生物のためにも光ることを發表し,これを黒内障性猫眼(Amaurotisches Katzenauge)と名ずけた。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.