談話室
百年前の眼科の革新をかえりみる
山賀 勇
pp.763-766
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200998
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19世紀は實に諸科學興隆の時代である。これと共にわが眼科に於てもその前半期より先ずウィーンではBeer,JagerプラッハV.ArltパリーにはSichel, Desmarresがあり,ロンドンにはBowman, Critchett等が出て,次でケーニヒスベルヒのH.v.Helmholtz (1821-1894)は1850年末檢眼鏡を發明し,又オランダ・ユトレヒトのF. C. Donders (1818-1889)は特に屈折と調節に關する殆ど完全な業績をつみ,更にこゝにすい星の如くあらわれてわずか42年の生涯に近代眼科の祖と仰がれるに至つたA. v. Graefe (1828-1870)が眼科臨床上に多くの不滅の業績をのこした。この3偉人が同時にこの世にめぐり合つてわが眼科の革新(Reform derAugenheilkunde)をなしとげたことは誠に單なる偶然ではないと考えられる。こゝに丁度百年前を回想して當時をしのぶことも決して無意義とは思われない。
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