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白色葡萄状球菌性膿痂疹の發生と氣象の關係に就て
岡部 巖
1
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科學教室
pp.114-118
発行日 1950年3月1日
Published Date 1950/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200326
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1.緒言 臨床所見に依る所謂白色葡萄状球菌性膿痂疹の發生が夏季に壓倒的に多いこと,即ち高氣温により多發することに就てわ,明治37年兩土肥により本疾患の獨立を唱えちれて以來,多數の報告に依り異論の無い所であるが,氣温以外の他の氣象諸元との關係に就ては,明治41年尾見は高温と相俟つて低濕度が多發の條件であることを提唱し,後に同門の淺井又高温低濕度を再認している.又本年の皮膚科學會總會に於て九大荒川はこの問題を自驗例を基礎として生物統計學的に研討し,やはり高温にして低濕度なることを多發の條件としている.之に反し,昭和10年阪大小兒科學教室の淺野は高温高濕を多發の條件とし,其の理由を研討し詳細なる報告を行つており,又最近北大三浦は5年間の統計に依り,淺野と同樣高温多濕の年の多發を報告している.又昨年の金澤に於ける風土性皮膚疾患科會に於て發表された諸家の意見は高濕低濕兩論相中ばすると云つた具合である.余の行つた統計の結果は淺野,三浦と異り,尾見,淺井,荒川の報告に近いものであるが,調査の方法も從來のものと多少異り,又氣温,濕度のみならず,他の氣象諸要素との關係も多少追究し得たので一括報告し,併せて之に關する余の推論を紹介する.
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