普通講演
(4)季節による色彩の感覺的明度攣化に就て(その2)—年間各月の正午に於る色彩明度の變化
松尾 治亘
1
1東京醫大眼科
pp.82-86
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200774
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第2章 緒言
標準光源としての太陽光
太陽は色彩を對象として實驗を行う場合,又寫眞,照明その他種々なる場合に用いられる最も重要な光源である。併し,この太陽も,日光を用うる場合でも,畫光を用うる場合でも時間,天候,季節及び土地等の條件によつて光質,光量が違つて來る。したがつて,この變化によつて對象色彩も變化を生ずる。この爲に,從來一定であつて再生可能な人工光源をつくる試みが種々なされた。國際寫眞委員會に於ては,1917年にC.G.Bbbotの測定したワシントン市に於る平均正午日光スペクトル強度分配の數値を1つの標準として1928年に採用し,又國際照明委員會に於ては1931年模擬日光光源としてICI"B"光源を,晝光光源として"C"光源を標準光源として採用した。
斯樣に,太陽光の標準化が種々試みられ,又一般に認められているものである。しかしながら,吾々が通常色神檢査その他の實驗等を行う場合は,簡單に標準光源を得られない關係から,一般に太陽を光源として用いているのか現状である。併も,その實際に當つての光源の扱い方に對しては,嚴密な規定がなく,唯々北面した室内の散光の許でという事のみが從來言われていて,その際の天候も晴天である事を條件とする場合もあれば,曇天の場合もあつて,まちまちである。
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