臨床實驗
季節による色彩の感覺的明度變化に就て—(その3)年間各月午前9時の正午及午後3時並に南面の場合の變化/(その4)A 曇天時に於る變化 B 直射日光の下に於る變化
松尾 治亘
1
1東京醫大眼科
pp.266-272
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200833
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緒言
前報に於て,私は色彩を取扱う場合に,最も適當な條件として用いられている北面した室内の正午に於る色彩の明度變化に就て,1年間の實驗結果を報告した。而して,對象とした色彩は,晴天正午の北面した室内に於ては,年間の各時期に於て概ね一定の明度を保持するものであるという結論を得たのである。此の場合,季節的な太陽高度の變化は,殆んど何等の影響も色彩の明度に及ぼさない事が判つた。併しながら,更に時間を異にした場合にどの樣な結果が得られるか,言い換れば,得られた正午の明度が,その前後に於て幾何程の時間的幅が許容されるかに就て考慮しなければならない。又之と比較對應する爲に,南面した場合の正午の明度に就ても同樣の事が考えられ更に南面の場合の時間的變動も以上の結果と比較されなければならない。
第2報第1章に於ても述べた如く,一應北面した室内の正午附近の光質は1つの標準として用いられているけれども,茲に時間的要素を加えて實驗を行う事は,以上の如き理由により必要であると考えられる。又南面した室内に於ては,當然その光質も北側とは異つており,第1報に於ても述べた如く,更にその變動も大きいのではないかという事が豫想されたのである。
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