臨床實驗
網膜剥離の臨床知見補遺—第Ⅱ篇 網膜剥離眼硝子体の細隙燈顯微鏡所見に就て
百々 次夫
1
1倉敷中央病院眼科
pp.459-462
発行日 1950年11月15日
Published Date 1950/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200708
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自発剥離の成立に,網膜組織自体の崩解性変化より生ずる断裂の存在が不可欠なことは,敢て言葉を費すまでも無いが,今一つの大切な要約として看過を許されぬのは硝子体の病変である.何となれば,網膜裂孔が明かに形成されていながら少しも剥離を來さない状態が,長期間に亘る観察で確認される場合のあることが,先づ一面から之を指摘する.次に必ずしも剥離眼のみに限定されたものではないが,自発剥離に際しては單純な徹照法に於て既に何らかの淨動性の硝子体混濁が証明されるのを常とする事,更に又檢眼鏡的にも樣々な硝子体の索或は膜形成や,後部硝子体剥離を示す所の乳頭前硝子体輪が屡々認められる事等も,他面より此の間の情況をものがたるものである.
故に著者は,先に幾人かの人達が追及した処ではあるが,細隙燈顯微鏡を以てする網膜剥離眼の硝子体変状の観察を自らも試みた次第で,以下その成績に就て略述する.
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