臨床實驗
青色白内障の統計的観察
下田 重正
1
1札幌鉄道病院眼科
pp.358-360
発行日 1950年9月15日
Published Date 1950/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200661
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青色白内障とは斜照法に於て水晶体溷濁が青色乃至緑色を帶びて認められるが徹照法に於ては如何に精査するも陰影を発見すること困難なる特長あり,概して先天性にして又多の先輩諸家は停止性なることを説いている.本症は欧米に於てはBach,Fuchs氏等は比較的稀なるものとなすに反しRömer氏は却つて屡々遭遇するものなりと云う.我國に於ては大川内,岡村,增田,倉田,友次,草間,靑山,似内,中前,上野氏等の報告あるのみなるも,倉田氏は6ケ月間に於ける患者総数715例中4例8眼,即ち全眼疾患の0.56%に本症を経驗し敢て少きものにあらざる事を記せり.是れ畢覚Römerの言える如く実際には割合に多きものならんも其の変化微細に,して之による視力障碍僅微にして其の多くは先天性なる爲めに,本人も医師もつい観過すること尠からざる爲めならんと思われる.
余は最近9人14眼の青色白内障を経驗し,細隙燈顯微鏡を以つて比較的精細に檢査し得たるを以つて茲に報告し,併せて從來我國諸報告を縦覧し統計的観察を企てた次第である.
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