臨床實驗
種々なる先天異常を伴つた上皮性虹彩嚢腫の1例
靑木 豐
1
1前橋医大眼科
pp.251-252
発行日 1950年6月15日
Published Date 1950/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200604
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はしがき
虹彩嚢腫はその発生部位により実質性及び上皮性の2型に分たれ,実質性嚢腫は虹彩前面の嚢腫として,上皮性嚢腫は通常虹彩後面の嚢腫として認められることは既に衆知の如くである.虹彩前面の嚢腫殊に外傷性のものについては我國においても多数の報告があるが,虹彩後面の嚢腫殊に特発性又は先天性のものは極めて少いものと見え,外國においてはBosteels (1864年)以來約30例の記載あるに過ぎず,我國においては吉本氏(昭和10年)が,虹彩炎の後に両眼虹彩前面嚢腫の症状を呈した例について組織学的檢索の結果,虹彩色素上皮層から発生した多房性嚢腫であることが判明した1例があるのみである.
私は,小眼球,小角膜,虹彩及び脈絡膜欠損其の他種々なる先天異常を有する患者において,細隙燈顯微鏡檢査の結果先天性虹彩上皮性嚢腫と思われるものを認めた.
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