〔Ⅰ〕原著及臨牀報告
驅黴療法に依り治癒せる稍々稀なる經過をとりたる腦疾患二例
有澤 武
1
1兵庫醫大眼科
pp.122-125
発行日 1947年9月20日
Published Date 1947/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200204
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第1例 12歳の男の子供,體格稍々小,榮養衰へ,顔面蒼白,皮膚光澤なく,彈力も乏しい。老人樣無力なり,頭髪甚だしく粗にして高度尿崩症を來たし,小兒科に入院中,トルコ鞍内腫瘍を摘る様手術を宣告されしも確診を得るため當眼科受診す。本患者は學業成績中等以上なるも2年前より頭髪稱々薄くなり1年前より尿意頻繁多尿となりたり。入院當初尿量最大6950ccに及ぶ,血液ワ氏反應陽性,眼科診斷,兩耳側半盲(尚鼻側下方及び下内方は著しく狭窄す)視神經萎縮著明,視力,右眼1.0左眼0.1レントゲン寫眞,トルコ鞍著變なし,腦脊髄液穿取により初壓120,終壓80採取量14cc色無色透明,細胞数4,(Globulin)(Nonne Apelt)(Pandy)氏反應陰性,以上により小兒科的に腦下垂體腫瘍を疑はれたが,本症はトルコ鞍變化なくChromophobの如き肥胖病もなく,Chromophilの如き肢端肥大症もなく,しかも尿崩症,惡液質なく皮膚乾燥,無力症,毛髪變化を伴つて居る。
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