〔Ⅰ〕原著及臨牀報告
學校近視の治療法
筒井 德光
1
,
三井 幸彦
1
1熊本醫大眼科
pp.82-83
発行日 1947年5月20日
Published Date 1947/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200191
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近視に對する私共の見解は最近數年の間に隨分變つて來た。これは主に學術振興會の近視委員會の研究のたまものである。尤も私共は最近の外國の文獻に精通する機會がないので外國でどんな進歩をとげてゐるかよく分らない。日本では現在トラコーマの初發症状が通常急性𢐸胞性結膜炎の症状でおこると云う考へが有力化してゐるけれども未だ眼科學界のすべてがこれを承認する迄には至つてゐない樣である。所が最近のアメリカ陸軍の軍陣眼耳鼻科學の本を見るとトラコーマは急性に發病し1,2ケ月の後に慢性症状を呈するものであることが簡單乍ら明瞭に記載され又,トラコーマの分類も日本學術振興會トラコーマ委員會で選定した急性期慢性第1,2,3期と殆ど同じ意味で第1,2,3,4期と云う分類法が掲げてあるのにおどろいた。此の分類法はMac Callanの分類法に準據したものであることが知られたが併し同氏の1936年に發表した内容よりずつと進んでゐる。これ等の考へ方が日本の研究とは關係なしに發展したものであることは想像されるが記載が簡單で詳細な根據を知り得ないのが殘念である。これについては外國の研究の進歩と云ふこと以外に歐米人が古い考へにこだわらず他人の研究の良いところは卒直にどんどんとり入れてゆくと云ふ態度に大いに教えられる所がある。さて近視の話にもどつてみると昔は近視と云ふものは眼軸が延長しておこるものだと考えてゐた。
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