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眼科の臨床および基礎研究において,この10年ほどの間に急速な進歩があり,眼科疾患の病態理解や治療面において,目覚ましい変化が起きていることを皆様も実感されていると思います。オキュラーサーフェスの診療・研究も急速な進歩を遂げています。『臨床眼科』増刊号「オキュラーサーフェス診療アップデート」では,こうしたオキュラーサーフェスの診療・研究における最近の急激な進歩を皆様に紹介することを目的として,オキュラーサーフェスの検査法,治療法,角膜移植,屈折矯正手術,基礎研究の各領域を牽引する比較的若手の先生方に執筆をお願いし,詳細な記述をしていただきました。
ここに15年前に発刊された『臨床眼科』増刊号「オキュラーサーフェスToday」の目次があります。1997年当時のオキュラーサーフェス診療・研究の最先端を扱った内容であると思います。その項目を今回の「オキュラーサーフェス診療アップデート」の目次と比較すると,この15年間においてオキュラーサーフェスの診療面,基礎研究面において,非常に大きな進歩があったことがよくわかります。15年前にはなかった内容が本号の大きな部分を占めています。例えば診断面ではOCT,波面収差解析,共焦点顕微鏡,マイボグラフィー,PCRの感染症診断への導入があり,治療面ではフェムト秒レーザーの角膜移植・屈折矯正手術・白内障手術への応用,DSAEKやDALKなどの角膜lamellar surgery,再生医療,コラーゲンクロスリンキング,有水晶体眼内レンズがあり,基礎研究面ではiPS細胞の角膜上皮細胞導入や培養角膜内皮細胞移植などをはじめとした多くの領域での進歩があります。各項目を読んでいただければ,私が今ここに挙げた以外にも,それぞれの執筆された項目においてさまざまな発展があったことがわかります。こうした臨床面での進歩にタッチアップしていくこと,自分の知識や技術を更新・アップデートし普段の診療に生かしていくことが,臨床家としての責務であることは言うまでもないでしょう。また現在の臨床での問題点を解決し,さらに医療のレベルを発展させていくためには基礎研究の理解も大変重要です。ぜひ,今回の増刊号「オキュラーサーフェス診療アップデート」をお読みいただくことで最新のオキュラーサーフェスの診療・研究について学んでいただき,それぞれの先生方の日々の臨床に役立てていただければ幸いです。
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