書評
神経眼科―臨床のために 第3版
若倉 雅登
1
1井上眼科病院
pp.448
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104152
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外国の教科書などに倣い,記念すべき人名を冠して「藤野貞の図説臨床神経眼科」とでもタイトルしてほしかった待望の第3版である。その藤野貞氏は2005年12月12日,83歳でひっそりと自宅でその生涯を閉じられた。本書の初版は,藤野氏が丹精込めて1991年10月に刊行された。自らが描かれた数々のわかりやすいイラスト,簡潔明瞭な箇条書きの記載,何よりも視診を重視し,それに見合う付録と,どれをとっても藤野氏の静かな情熱と後進への思いやりが表れていた。日本人のための教科書だからと,参考文献も日本語のものを選択していた。しかし,内容は正確で,質は高かった。神経眼科の初学者だけでなく,専門だと自認する医師たちも大いに参考にした。
神経眼科という,ともすれば敬遠されがちな領域だが,眼科の臨床上避けて通れぬ領域でもあることはすべての眼科医が知っていたし,神経内科など関連領域の医師たちもこの領域の大切さに気付いていた。だが,多くの教科書はやはり難しい記載になりがちで,読破できる人は多くなかった。本書の第1版はそのわかりやすさ,必要な所を読めばよろしいという編集スタイルで,神経眼科とそれに苦手意識を持つ医師との距離をぐっと縮め,医学書としては異例の5刷を重ね,「飛ぶように売れた」と表現してよい人気を博した。第2版は2001年に刊行された。これもよく売れた。
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