書評
「神経眼科 第4版—臨床のために」—江本博文,清澤源弘,藤野 貞【著】
若倉 雅登
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1医療法人社団済安堂井上眼科病院
pp.1142
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202490
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臨床神経眼科は神経科学と眼科学が統合された独立分野で,その萌芽は20世紀初頭の米国にあった。1947年Frank B Walsh(1895〜1978)の『Clinical Neuro-ophthalmology』が上梓されるに及び,神経眼科学は広く認知された。やがてこの国は,W.F.Hoyt(1926〜2019),J.Lawton Smith(1929〜2011)らその道の泰斗を輩出し,神経眼科学は黄金時代を迎えた。
この時代にマイアミ大に留学した日本人医師がいた。藤野貞(1922〜2005),本書の初版版の著者である。長崎大助教授を辞して,この新領域を学びに渡米したのである。そこでは臨床だけでなく,視交叉血管の研究にも打ち込んだ。そして,この新領域の臨床医学をひっさげて67年に帰国すると,東京,東京医科歯科,慶應義塾,北里,大分医科などの大学や都立病院で神経眼科臨床を実践し,85年には今も続く夏の勉強会を立ち上げた。日本の弱点とされる臨床実践教育のため,彼はいずれの常勤職にもならずに全国を奔走した。
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