書評
神経眼科―臨床のために 第3版
石川 哲
1,2
1日本神経眼科学会
2北里大学
pp.348
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104130
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今回,東京医科歯科大学眼科江本博文氏,清澤源弘氏2人のスタッフを中心に,1991年初版の藤野貞氏(故人)による『神経眼科』改訂第3版が出版された。今回書評を依頼されたので本書を紹介すると同時に,2012年に第50回を迎える日本神経眼科学会の発展も知っておいてほしいので以下に紹介する。
本邦では1974年に石川哲編・著で『神経眼科学:NEURO-OPHTHALMOLOGY(以下,N-Oと略)』が日本で初めて医学書院から発刊された。『N-O』は,故藤野氏を含む北里大学眼科教室員により執筆された。当時,神経眼科学の教科書は評者が留学したニューヨーク大学のKestenbaum(眼科臨床専門),ジョンズ・ホプキンス大学のWalsh(神経病理学)およびカリフォルニア大学のHoyt(脳神経外科・眼科)らの著書が米国から出版されていた。そのころ日本では水俣病,神経Behçet病など日本人に数多く発症した眼症を含む特異な疾患もあったので,上記の教科書『N-O』は,それら疾患の紹介と病態の解明,診断,治療などに重点が置かれた。これら難病患者から得られる情報は複雑で,新たに開発された他覚的所見に基づく症例の神経眼科的分析法,つまり眼球運動,瞳孔,調節,輻湊などの分野に立ち入り他覚的分析法を駆使して疾患を詳述した書籍は当時世界にもみられず,日本独特の神経眼科教科書であった。
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