特集 新しい時代の白内障手術
Ⅴ.白内障手術のデバイスの進歩
トピックス
術中自動点眼装置
征矢 耕一
1
1公立昭和病院
pp.285-286
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103446
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はじめに
白内障手術では,長らく手術助手による手作業の水かけが行われてきた。水かけの目的は,術野視認性の維持と乾燥による眼表面組織の損傷防止にあるが,昨今の術式では,かける量と場所,そしてタイミングには注意を要する。過多な水かけは,角膜上のうねりや瞼裂内に澱みを生じて角膜透見性を損ない,反対に過少ならば,角膜が乾燥してやはり透見性を損なうのに加えて,組織損傷の原因にもなる。眼瞼縁への水かけは,患者にとって不快であるとともに,瞬目反射を誘発する。とくに前囊切開や超音波乳化吸引中では,水かけのタイミングの悪さが重大な術中合併症をきたしかねない。白内障の手術時間が著しく短縮されるのに伴い,手術助手の作業も慌ただしくなっており,適切な水かけは想像以上に難しい作業になっている。
これらの問題点に対処し,術中つねに的確な点眼を施すべく,手術顕微鏡に設置して角膜に持続的,断続的に自動点眼する装置が用いられている。近年取扱い上の改良がなされた機種が登場したので,その改良点を含め,改めて現代の白内障手術における自動点眼装置の意義を評価してみる。
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