特集 新しい時代の白内障手術
Ⅲ.高機能眼内レンズ
多焦点眼内レンズ―3)回折型と屈折型の比較
中村 邦彦
1
1たなし中村眼科クリニック
pp.177-181
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103421
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はじめに
遠方視,近方視とも眼鏡に依存せずにすむようになる生活の実現を目的として多焦点眼内レンズは開発され,近年登場した新世代の多焦点眼内レンズはいままでの多焦点眼内レンズの問題点が大幅に軽減された。実際にこれまでの実績を大きく上回る結果が報告され1~5),国内でも普及しつつある。
多焦点眼内レンズには屈折型と回折型があるが,それぞれに利点と欠点がある。屈折型は良好な遠方視力が得やすいが,構造上,近方視が瞳孔径に依存すること,夜間のハローやグレアが出やすいことが指摘され,一方で回折型は瞳孔径に依存せず近方視が得られるが,階段状の段差を有する回折現象により,2か所に焦点が形成され,入射光の41%ずつが遠用,近用に分配され残り18%が回折により失われるため,コントラスト感度の低下が生じやすいとされている6~8)。多焦点眼内レンズの使用にあたっては,屈折型,回折型それぞれの特徴を十分に理解し適応を決めることが望まれる。
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