特集 新しい時代の白内障手術
Ⅱ.満足度の高い眼内レンズ度数決定
度数ずれに対するインフォームド・コンセント
小松 真理
1
1順和会山王病院眼科
pp.130-136
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103411
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はじめに
白内障手術が屈折矯正手術の1つであると認識されるようになって久しい。さらに最近では,小切開手術により惹起乱視がほぼ無視できるようになる一方,光学式眼軸長測定装置の登場により,眼内レンズ度数の予測精度が向上し1),より絞りこんだ屈折目標を持つことができるようになった。また,多焦点眼内レンズやトーリック眼内レンズによる老視矯正や乱視矯正が一般化し,白内障手術の屈折矯正手術としての意味合いは,さらに強くなりつつある。
そうした背景における「眼内レンズの度数ずれ」とは,1つには患者の希望する屈折度数を把握していなかったことによる設定目標のずれ,もう1つには目標とした屈折度数と結果のずれが考えられ,後者の原因には,測定値の間違いによるものと,個々の眼の形態的特殊性によるものがある2)。光学式眼軸長測定装置の導入により,測定値の間違いによる大きなずれは減少したが,それでもなお,個々の要因によると考えられるずれに悩むことがある。
本項では,どのように患者の望む術後屈折を把握するか,どのように度数のずれを減らすか,またパワーずれに対する心構えをどう患者に説明し,眼内レンズの種類と度数を選択するかについて,筆者らが行っている対策を中心に述べる。
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