特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
6.ロービジョンとQOL
末期緑内障患者をどうケアするのか
鈴鴨 よしみ
1
1東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻肢体不自由学分野
pp.374-377
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102997
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医療の提供者と受給者間のギャップ
緑内障は,軽度である場合は視野障害が少なく自覚的な症状がほとんど現れない。したがって,緑内障の初期・中期には,疾患が患者の生活に直接に大きな影響を及ぼすことは少ない。しかし,眼科医は将来的な視野障害の進行が患者の生活に大きな影響を与えることを知っているので,早期発見の重要性を呼びかけ,患者に自覚症状が少ない初期段階から進行抑制のための治療を積極的に行う。
一方,視野障害が進行して視野狭窄が大きくなってくると,患者の視機能が低下し患者の日常生活への影響は増大する。それと反比例するかのように,医療者側が提供できる積極的治療介入の方策の選択肢は減少する。治癒が見込めないことから,末期の段階では医療者側が医療の積極的介入を諦めてしまうことも少なくない。
末期緑内障患者のケアにおいては,このギャップが重要な視点の1つであると思われる。
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