今月の表紙
全身性エリテマトーデス
福井 勝彦
1
,
根木 昭
2
1旭川医科大学眼科
2神戸大学眼科
pp.1067
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102781
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30歳,女性。3か月前から38℃を超える発熱が続き,近くの総合病院を受診した。その後も解熱と発熱を繰り返し,肝・胆道系酵素の上昇がみられたため,精査目的で当院内科へ紹介された。抗核抗体,抗Sm抗体が陽性で,顔面および外耳道に紅斑がみられた。耳介内皮疹の生検の結果,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)と診断され,合併する眼所見の精査目的で眼科を受診した。初診時には,眼底所見にて放射状乳頭周囲毛細血管が分布する領域に軟性白斑がみられるなど,網膜循環の虚血があった。視力は右(1.0),左(1.2)と良好であった。
ステロイド療法の開始から2か月で退院したが,その10日後に再び発熱が生じて再入院となった際,視力低下を訴え,眼科を再受診した。視力は右0.02(矯正不能),左0.07(0.4)であった。眼底所見は,初診時と比べ著しい軟性(綿花様)白斑の増加,網膜血管の白鞘化,黄斑浮腫が認められ,小出血斑も伴っていた(a)。光干渉断層計にて測定した中心窩厚は,右876μm,左521μmであった。フルオレセイン蛍光眼底造影では,眼底全体に毛細血管閉塞領域が認められ,造影後期まで網膜細動脈閉塞が持続した。網膜静脈の著しい口径不同,血管壁への色素の取り込みと血管周囲への蛍光漏出がみられ,静脈周囲炎の所見と考えられた(b)。
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