特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
3.未熟児網膜症
重症未熟児網膜症の新しい概念
平岡 美依奈
1
1国立成育医療センター眼科
pp.294-297
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102504
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背景
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,1942年にTerryにより瘢痕期の症例が後部水晶体線維増殖症(retrolental fibroplasia:RLF)と報告されたのが最初であり,1951年にHeathが未熟児網膜症の名称を提唱した。1953年にはReeseらが活動期および瘢痕期の病期分類を発表し,その後多数の分類が発表された。わが国では1974年の厚生省研究班報告(通称「厚生省分類」)1)において,活動期未熟児網膜症を比較的緩徐な経過をとり自然治癒傾向の強いⅠ型と,未熟性が強く段階的な進行をとらずに急速な経過で網膜剝離を起こす予後不良なⅡ型に大別した。当時からⅡ型は,単にⅠ型の重症型ではなく,別個の病型として扱われてきた。
しかし,1984年の国際分類2)にはⅡ型の概念は取り入れられず,その代わりに“plus disease”という概念を導入するにとどめた。“Plus disease”とは,周辺部網膜血管の強い怒張,蛇行,虹彩血管の充血,瞳孔強直,透光体混濁に後極部の静脈怒張,動脈蛇行が高度な場合をさすが,これはⅠ型未熟児網膜症が進行してきた場合,Ⅱ型未熟児網膜症ともに共通してみられる所見であり,“plus disease”=Ⅱ型ROPとすることはできないことが永田3),馬嶋4,5)らによって繰り返し強調されてきた。
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