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広角観察システム
欧米ではほとんどの術者が,硝子体手術で広角観察システム(wide angle viewing system)を使用している。このシステムは細隙灯顕微鏡で使用する広角観察用のコンタクトレンズを手術に応用したのがきっかけであったが,当時は観察する眼底が倒像であったため,そのままの状態では手術操作は非常に困難であった。1987年にSpitznasら1,2)が手術用顕微鏡に倒像を正立像に変換するSDI(stereoscopic diagonal inverter)と非接触型のBIOM(biocular indirect ophthalmomicroscope)を開発してから広角観察システムが盛んに使用されるようになった。
広角観察システムには,コンタクトレンズを使用する接触式と,BIOMに代表される前置レンズを使用する非接触式のものがある。観察視野はほぼ同じである。しかし,非接触式は顕微鏡の動きと連動しているが,接触式では顕微鏡のXYが逆で,それにはかなりの慣れが必要である。非接触式であるBIOM/SDIは各社の顕微鏡に設置可能で,世界的に最も使用されているシステムである(図1)。日本でもHoriguchiら3)が眼内照明を使用しない非接触型広角観察システムであるOFFISS(optical fiber-free intravitreal surgery system,TOPCON社)を開発した(図2)。このシステムが現時点で最も広角に眼底を観察できるシステムと考えられ,症例によっては鋸状縁まで観察することができる。ライトファイバーを用いなくても眼底が観察できるので,そのままで双手法の操作が可能である(図3)。残念ながら現時点ではTOPCON社の手術用顕微鏡にしか取り付けられない。Ocular社のOcular Landers Wide Angle Surgical Viewing Systemは,レンズを顕微鏡ではなくベッドの頭部のアームに固定するタイプである(図4)。インバーターの必要がないリインバーティングタイプであるPeyman Wessels Landers広角レンズ(図5)を使用すれば100°の視野が得られる4)。
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