特集 網膜硝子体診療update
Ⅱ.非観血的治療update
レーザー光凝固のトピックス
志村 雅彦
1
1NTT東日本東北病院眼科
pp.124-131
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102469
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光凝固は組織破壊である
網膜はMüller細胞や星状細胞といったグリア細胞が構造骨格を形成し,光受容体,双極細胞,神経節細胞などの神経細胞が極性をもって規則正しく配列することで,体外情報の80%を占めるといわれる知覚の入り口となっている。1億を超える細胞が直径24mmほどの眼球の内面を覆う厚さ300μmくらいの網膜に密集しており,そこでは多くの酸素需要がある。それゆえ網膜には網膜血管と脈絡膜という2つの循環系が存在している。したがって,ひとたび網膜が循環障害を起こした場合は,網膜での血管を新生させて酸素供給を上げるか,組織を選択的に破壊して酸素需要を下げるしかない。いうまでもなく後者こそが網膜光凝固である。
網膜光凝固は可視光あるいは長波長レーザーの照射によって網膜色素上皮細胞に熱吸収させ,網膜色素上皮,および隣接する光受容体の選択的破壊を目的に施行される。ここで大事なことは「網膜光凝固は組織破壊である」ということだ。
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