今月の表紙
樹氷状血管炎
永野 幸一
1
,
西田 輝夫
2
1北里大学眼科
2山口大学眼科
pp.2099
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102086
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1976年,伊藤らは健康な小児の両眼に急性発症し,網膜血管の高度な白鞘化と虹彩毛様体炎を呈した症例を樹氷状網膜血管炎として報告し,2004年,Walkerらは樹氷状網膜血管炎の1/3に先行感染を伴うと報告した。
症例は6歳男児,両眼の視力低下を主訴に受診した。初診時矯正視力は右0.15,左0.2,両眼に軽度虹彩毛様体炎と網膜静脈の広範囲な白鞘化を認め,樹氷状網膜血管炎の疑いで入院となった。視神経乳頭発赤,中心暗点,中心フリッカ値の低下,MRIで球後視神経の高信号を伴い視神経炎の合併も疑われた。血液生化学検査では,赤沈の軽度亢進と,1か月以内の溶連菌感染で上昇する抗ストレプトリジンO(ASO)の高値を認め,後の問診にて3週間前に小学校で溶連菌感染症が流行したときに発熱の既往があることがわかった。現在は,網膜静脈の白鞘化も改善し,視力は両眼ともに1.2で落ち着いている。
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