特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
16.免疫不全
毛細血管拡張性運動失調症
園田 康平
1
1九州大学大学院医学研究院眼科学分野
pp.328-330
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102058
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概念・病態
毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia,Louis-Bar症候群)は免疫不全,運動失調,血管拡張を三主徴とする遺伝性疾患(常染色体劣性遺伝)である1)。幼児期からさまざまな症状を呈し,10~20歳代で呼吸器感染症,悪性腫瘍で死亡することが多い。責任遺伝子は染色体11q23に存在する。典型例は出生40万~100万人に1人,不全型を含めると3万~5万人に1人に発生すると報告されている。本態は修復障害によるDNA不安定性である。胸腺の無形成,T細胞機能障害を認める疾患である。眼球結膜の毛細血管拡張,進行性の小脳失調,免疫不全,発癌性を示す。
1926年,Syllabaらは皮膚の毛細血管が拡張して失調性歩行する兄弟例を報告した。1941年にはLouis-Barが同様の症例を報告して新症候群として確立し,毛細血管拡張性運動失調症という病名が付けられた。欧米では10万人の出生あたり1人の割合で発症する。患者は免疫不全症を合併し,白血病などの悪性腫瘍を若年で約20%の高頻度で発症する。
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